弦は弓でこすることで振動し、その振動は駒と魂柱を経て表板から裏板に伝わる。一方表板の振動はパフリングおよび側板で止められ、純粋に表板と裏板の膨らみの振幅によって様々な倍音が形成される。これはギターなどに代表されるような単なる音の反射箱・共鳴箱以上の役割を明らかに担っており、学問的に解明することをより複雑にしている要因でもある。
ストラディヴァリウス、グァルネリ・デル・ジェスなどの名器は当初、音色を重視されて製作されていたと考えられる。当時の楽器の利用において音量はそれほど求められていなかったからである。
それが現代の様式に合致させるべく、ネックを伸ばし角度をつけて、弦の圧力バランスを増大させたことにも対応でき、あのような素晴らしい音色を残したまま十分な音量を出せているのは、やはり彼ら超名工であったから成し得たことである。音量だけを求める現代の傾向では、オールド楽器に比肩しうる本質的な意味で良いヴァイオリンが生まれる可能性は低い。
オールドの名器には、元々の製作哲学の高さと若干の経年変化による恩恵があると考えられるが、これらの名器は当初から相当の能力を有していた筈である。近現代の作家の楽器を「未来のストラディヴァリ」などと謳う形容においては、その比較となるべき論理的根拠はなく、常に商用的である。
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