歌劇においては、バロック・オペラや古典派のオペラで確立されたさまざまな形式が緩められ、うち壊され、互いに溶け合う傾向にあった。ギリシャ神話のようなヨーロッパにとって普遍的な題材よりも、各民族の神話や民話、伝説、歴史に題材が求められた。この傾向はワーグナーの楽劇において頂点に達した。ワーグナーの作品では、アリアや合唱(重唱)、レチタティーヴォ、器楽曲を互いに切り離すことは出来ない。その代わりにあるのは、連続した音楽の流れである。
別の変化も浮かび上がる。カストラートの衰退によって、テノールを主役に配置することが定式となり、合唱はいっそう重要な役割を与えられた。また、のちには歴史的・神話的な題材よりも、現実的な題材を好む傾向も生まれた。フランスでは、ビゼーの《カルメン》などが書かれ、イタリアでは1890年代になると「ヴェリズモ・オペラ」が創り出された。世紀末のウィーンでは、ツェムリンスキーやシュレーカーらが現実的な題材に挑み、とりわけコルンゴルトの《死の都》は、第一次世界大戦後のドイツ語圏で人気があった。
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