原型は目黒製作所(メグロ)が製作していたK1(通称スタミナ)という車両であったが、メグロがカワサキとの業務提携を経て吸収合併されると、K1の後継車種で当時現行機種であったK2(497cc)をカワサキが引き継ぐ形で624ccに拡大した車種の開発が行なわれ、1966年に650-W1が発表された。当時としては最大排気量のオートバイであり、そのエンジンとキャブトン・タイプのマフラーの排気音がもたらす迫力により人気車種となった。また北米輸出専用として、ツインキャブ仕様のW2SSや、ストリート・スクランブラータイプのW2TTというモデルも生産されている。ちなみに今では考えられないことであるが、W2TTにはマフラーのサイレンサーが付いていない。これはエンジンの特性を殺してしまわないための標準仕様であった。国内向けとしてはツインキャブのW2SSが650W1S(スペシャル)として発売、また、W1Sまではメグロ時代の設計を踏襲して右足シフト(踏み込み式)・左足ブレーキであったが、1971年に発表されたW1SA以降は現在の左足シフト・右足ブレーキに変更されている。そして1973年に発表された650RS-W3では前輪にダブルディスクブレーキが装備され、この650RS-W3をもって初期のWシリーズは生産終了となった。
このシリーズは当時から型番で「W1(ダブワン)」「W1S(エス)」「W1SA(エスエー)」「W3(ダブサン・ダブスリー)」と呼ばれることが多く、シリーズに共通している英国風デザインの車体、直列2気筒のバーチカルエンジン、そしてエンジン下にあるメグロの血を受け継ぐ独特な形状のクランクケースにより日本国内では人気が高く、カワサキの伝説的オートバイとしてZシリーズに次ぐほど現在でも愛好家は多い。一方、カワサキが主要マーケットとした北米地域では発売当時より「BSAの兄弟車」などとデザイン面での評判が芳しくなく、また、特に高速走行時に発生する振動が凄まじく、オイル漏れや各種の部品脱落の苦情が絶えなかったことなどにより、販売成績的には後のH2(マッハIII500)やZ1に比べると見劣りのするものであった。
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