「アントニン・ドヴォルザーク」 序曲
- 序曲「わが家」 (Domov m?j) 作品62a、B.125a
- 本来はフランティシェク・フェルディナンド・シャンベルクの芝居『ヨゼフ・カイエターン・ティル』の劇音楽として作曲された10曲の中の1曲であるが、現在ではこの序曲以外が演奏されることはほとんどない。ヨゼフ・カイエターン・ティルは、チェコの近代演劇を確立した実在の人物(1808-1856)。晩年は独立運動に荷担した罪を問われ、旅役者として極貧のうちに亡くなった。モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』が初演されたことで知られるティル劇場は、彼の名に由来する。
- タイトルは、上記の芝居とは関係がなく、第1主題が「わが家の庭先では」という民謡から採られていることに由来する。したがって、この曲のタイトルはしばしば「わが故郷」と訳されるが、「わが家」がより適切な訳である。
- 初演は1882年2月3日、ティルの誕生日に行われた公演で、指揮はアドルフ・チェフが執った。
- 劇的序曲「フス教徒」 (Hustisk? dramatick? ouvertura) 作品67、B.132
- フス教徒(フス派)とは、15世紀初めのチェコの宗教改革家ヤン・フスを支持した者たちのことで、フスの死(1415年)以降はさらに勢いを増し、十字軍を退け、1420年から1434年までの短い期間ではあったが民主主義政権を成立させたりもした。チェコ国民劇場の総裁フランティシェク・アドルフ・シュベルトはフス教徒時代を主題とした三部から成る演劇を企画し、その音楽として依頼に応えて作曲されたのがこの作品である。この作品には2つの有名な旋律が用いられている。1つはスメタナの『わが祖国』の第5曲、第6曲でも用いられているコラール『汝ら神の戦士達』で、これはフス教徒時代のターボル派の僧によって作曲された軍歌であるとされている。もう一つはチェコ民族の守護聖人ヴァーツラフ1世を讃える12〜13世紀に創られたコラールである。これらが明らかに示しているとおり、この作品は、フス教徒に祖国独立運動の願いを仮託した愛国主義的作品である。
- 初演は1883年11月18日モジツ・アンゲル指揮、プラハの国民劇場管弦楽団により演奏された。
- 序曲「自然の中で」 (V p??rod?) 作品91、B.168
- 序曲「謝肉祭」 (Karneval) 作品92、B.169
- 序曲「オセロ」 (Othello) 作品93、B.170
- この3作は、まとめて序曲三部作「自然と人生と愛」を形成する。時に組曲と呼ばれるが、実際の演奏会では3曲連続で演奏されることは稀で、演奏頻度は「謝肉祭」が圧倒的に高い。作曲は1891年3月から1892年1月にかけて続けてなされた。初演は1892年4月28日、プラハにおいて作曲者の指揮、国民劇場管弦楽団により行われた。「オセロ」作曲後もタイトルを「悲劇的」にしようか「エロイカ」にしようかと出版社のジムロックに相談していることからも判るように、これらは決して標題音楽ではなく、各曲がそれぞれ漠然と自然、人生、愛に対応しているに過ぎない。
- なお、第1曲の題名は英語訳からの重訳で「自然の王国で」とされることもあるが、原題からの直訳では「自然の中で」とするのが適切である。
クーベリック/ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 「新世界」より
01:00
「アントニン・ドヴォルザーク」ってどう思う?
投稿はまだありません。